« シャドウランレッグワーク3「シャドウランにおけるレッグワークII」 | トップページ | SHADOWRUN:シナリオ構造についての考察 »

2008年12月22日 (月)

シャドウランレッグワーク4「シャドウランにおけるレッグワークIII」

”保険”か。

ジョンソンの意味が今ならよくわかる。

黒い剣。

ダークソードの意味も。黒い剣か。まぁ、ぶんぶんうなって魂を吸い取る剣ほどではないにせよ、その少女また、黒い剣なのだ、と俺に伝えていた。まさか、サムライを凌ぐとは。魔法、というものに対して畏怖を感じざるをえなかった。まさか小娘一人でサムライを含めた5人の護衛をほど一瞬にして戦闘不能にし、そのボスの首筋にモノソードを突きつけている。

ダークソードか。

名前の響きが恥ずかしいとは別に、この少女は確かに荒事専門家だ。つまりサムライと同類。魔法ってのは、年端もいかない少女を、戦闘兵器に変えることができるぐらいに悪趣味なものらしい。正直ゴスロリ少女のサムライと合って、サイバーウェアとバイオウェアの悪趣味さを痛感したのと同じように、魔法という第6世界のテクノロジーの悪趣味さに俺は嘆息していた。

いやはや。

俺は身体を拘束具によって拘束され、その一部始終を眺めざるをえず、そんなことを考えた。

「大丈夫ですか?」

こっちに顔を向けずに少女、ダークソードが訪ねる。そのモノソードは微動だにせずボスの首筋にかかっている。

「あぁ。大丈夫だ。しっかし、よくもやってくれたよな、俺の事務所を」
「必要でしたので」
「・・・まさか俺が監視されていて、あの猫を探す別連中がいて、俺が猫の居場所を知ってその猫を探し出して手元に入れて事務所に戻った途端に、こうして襲われるとは思わなかった」
「状況説明どうも」
「しかもおまえさん、ダークソードがさらにその連中をシメちまうとは」
「必要でしたので」
「で、これからどうするんだ?」
「殺します」
「処分は」
「依頼者に頼めば」
「・・・マジかよ」

正直10代の娘の考え方ではないな、それは。

「ちょっと待て」
「どうするのです」
「そいつらは生かそう」
「なぜ」
「魔法少女のやっていいことは、ステッキもって幸せを生み出すことで、モノソードで屍山血河を生み出すことじゃねえよ」
「答えになってませんが」
「・・・言い換える。おまえは保険だと言った。恐らくこういう状況をあのジョンソンは想定していた、ということなのだろう。だがな、こいつらを殺せば、この猫を巡ってまた面倒なことになる。俺なら、これをもうちょっと状況を変化させられる。猫をジョンソンが手に入れれば、恐らく俺を襲った連中はまた別の手を打つ。堂々巡りだ。血の循環、終わり無き戦いだ。ジョン・ホールドマンかっつーの。」
「最後の意味がわかりませんが」

SF作家だ、と俺は悪態つきつつ考える。

そもそもいっとくが、こいつらが死ねば、そのお礼参りの対象は、魔法少女か俺だ。魔法少女はどうにかなるかもしれないが、俺がどうにかなるとは思えん。

ここは手打ちにするしかない。ダークソードがどう考えているのであれ。

「わたしはその気になれば、あなたの意志そのものを操作することができます」
「・・・脅しか」
「そう受け取っていただいても」

まいった。この少女は、どうやら本物の戦闘兵器らしい。俺も何人か知り合いがいるが、そいつら全員に通じる、昆虫のような無生物の臭いがこの少女からする。

「・・・おまえさんが何かを考えているのか、俺には正直わからない。しかし、ここは引いてくれ。悪いようにはしない。全員ハッピーになるようにする。頼む。そいつらを殺すのは止めてくれ」
「あなたがそこまでこの連中に執着するのは逆襲か復讐が怖いからですか。ご安心を。依頼者に頼んで徹底的な殲滅を」
「そうじゃない」
「?」
「幸せをもたらすはずの魔法少女が、モノソードで血まみれの死体を作り出すのが、いやなだけだ」
「その不快な冗談をこの場で本気で言ったのであれば、私はその気になれば、この場で事故としてあなたを”処理”することもできます」
「しないよ」
「なぜ」
「ダークソードという名前を恥ずかしいと言うような少女は、たぶんしない」
「・・・本気ですか」
「はいかYESでお答えしてもいい」
「・・・私をこの場で怒らせれば、どうなるのかおわかりのはずですよね、それでも?」「ああ、殺すな。それは最適な答えじゃない」
「・・・」
「殺すな」
「・・・まさかこんなランナーもいるとは」

そうつぶやくと、少女はモノソードを鞘に収め、その哀れなまでに青ざめているボスに向かって何か一言二言つぶやいた。ボスは何も動けないようだった。

そうしてダークソード、ダークウィッチ、ウィッチという少女は、無言のままに俺の拘束具を解放した。

「この場はあなたに従うことにいたしましょう。シャドウランナー」

**

今までは情報収集におけるレッグワークについて書いた。
最後は問題解決手段における「交渉」について記述する。

シャドウランにおいて「戦闘による問題解決」は非常に重要視されている。
しかしそれだけが問題解決手段の全てではない。

もし、戦闘以外の解決方法をPL側から提示され、それに十分な説得力があるとGMが認めるのであれば、戦闘は回避されてしかるべきである。

そしてその場合のレッグワークは、IとIIにて語った情報収集としての側面を持つ、戦闘の前段階、準備段階としてのレッグワークとは異なる。

「交渉」におけるレッグワークは基本的に以下のような流れとなる。

シャドウランはおおむね以下のような流れになる。

【戦闘を内包している軍事作戦的なオーソドックスなシャドウラン】

1)依頼のためのメンバー招集
2)依頼内容の開示
3)報酬の提示
4)依頼内容についての質疑応答
5)依頼内容の遂行
  5-1)事前調査・情報収集
      5-1-1)マトリクス
      5-1-2)レッグワーク
      5-1-3)魔法
      5-1-4)電子機器
  5-2)作戦準備・立案
      5-2-1)作戦実施場所の下見
      5-2-2)敵対勢力の調査
      5-2-3)作戦実施場所までの移動手段、撤退手段の調査
      5-2-4)必要な物資の追加購入
      5-2-5)PC内の役割分担の調整
  5-3)作戦実施
  5-4)撤収
6)報酬の受け取り
7)解散

における5-2からの流れが異なる

【戦闘ではなく、交渉を解決手段としたシャドウラン】

1)依頼のためのメンバー招集
2)依頼内容の開示
3)報酬の提示
4)依頼内容についての質疑応答
5)依頼内容の遂行
  5-1)事前調査・情報収集
      5-1-1)マトリクス
      5-1-2)レッグワーク
      5-1-3)魔法
      5-1-4)電子機器
  5-2)作戦準備・立案
      5-2-1)敵対者・ステークホルダー(利害関係者)の調査
            彼らが何を望んでいるのか
      5-2-2)依頼者の調査
            依頼者はどこまでPC側に権限委譲をしているのか
            戦闘を回避した交渉解決でもOKなのかの確認
      5-2-3)PC側の調整
            戦闘回避による交渉でも問題ないかのPC側の調整
      5-2-4)交渉材料の調査と検討
            戦闘を実施しないでも敵対勢力が納得する交渉材料、情報
            アイディアの取得、検討
  5-3)交渉開始

      1・敵対勢力にとってそれは利益があるのか
      2・自分たちにとってそれは利益があるのか
      3・依頼者にとってそれは利益があるのか

      4 戦闘をすることによりメリット、デメリットの提示
      5 戦闘を回避することによるメリット、デメリットの提示

      7 なぜPC側はこのような戦闘回避による交渉を提案するのかの十分な理由
      8 戦闘を回避した場合の交渉相手の利益は何か
      9 戦闘を回避した場合のPCたちの利益は何か
     10 戦闘を回避した場合の依頼者の利益は何か

  5-4)撤収
6)報酬の受け取り
7)解散

ここで考慮しなければならない事は以下になる

・敵対勢力にとってそれは利益があるのか
・自分たちにとってそれは利益があるのか
・依頼者にとってそれは利益があるのか

上記3点は異なるが、これらを勘案した結果GM側として十分な説得がされた、と思う場合において、その戦闘は回避されなければならないと考える。

つまり、PL、PC側としては上記3点、「敵対勢力、自分達、依頼者」の3点の利益を同時に満たすための方策を考え、それを実行しなければならない。最低でもそれを交渉の場に提供できなければならない。

5-3)における10個のポイントに対して十分に説得可能な材料をPC側が提供できるのであれば、戦闘は回避され、交渉は成功する、とGM側は判断してよい。

また、可能であれば、PC側はこのような戦闘回避を目的とした情報収集を同時並行して実施することが望ましい。それはPCの問題解決屋としてのシャドウランナーの風評を高めることすれ、低くすることはないだろう。

「やつらは、ミートではない。考える、頭を持った連中だ」

|

« シャドウランレッグワーク3「シャドウランにおけるレッグワークII」 | トップページ | SHADOWRUN:シナリオ構造についての考察 »

シャドウランTIPS」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/12215/43475592

この記事へのトラックバック一覧です: シャドウランレッグワーク4「シャドウランにおけるレッグワークIII」:

« シャドウランレッグワーク3「シャドウランにおけるレッグワークII」 | トップページ | SHADOWRUN:シナリオ構造についての考察 »